丁鶴廬研究会とは


 丁鶴廬研究会は、2003年に設立し、 日中の篆刻芸術における文化交流、講演会、セミナーなどの活動を行っている団体です。
 
 篆刻芸術の聖地で百年以上の歴史を持つ西泠印社の四人の創設者のうち丁仁(号鶴廬)、呉隠(号潜泉)を祖父とする丁家14代目丁如霞を会長に、これまで丁仁、呉隠書画篆刻作品展の開催丁家秘蔵「西泠八家印存稿」復刻版刊行、中国名家一族史「丁家の人びと」の出版、幻の印泥「鶴泉印泥」の発掘・復刻製造など。
 
 現在、日本をベースに会派を越え研究者や専門家、愛好家を会員に構成し西泠印社の先人たちの精神及び篆刻芸術の真髄と魅力を追求、伝承していくことを目指しています。

丁仁(1879-1949)

会長挨拶


 謹啓 時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
 
 本年2017年は日中国交正常化45周年にあたります。5月3日~7日、兵庫県立美術館にて「西泠四君子 丁仁、王褆、葉銘、呉隠書画作篆刻作品展」を西泠印社、日本篆刻家協会とともに開催いたしました。
 
 2003年に日中間の文化交流、印学研究のため、丁鶴廬研究会を設立しました。設立の際に、西泠印社創設100周年を記念し、丁家秘伝で、祖父丁仁の「西泠八家印存稿」の初公開とともに限定印譜出版をいたしました。日中両国の多くの研究家や愛好家の方々にご高評を頂き、「西泠八家印存稿」を知って頂く機会となりました。
 
 研究会の活動として、2007年、「丁家の人びと」聞き書き自伝を刊行し、2008年、西泠印社創設105周年・丁鶴廬生誕130周年には、「丁家の人びと」の出版記念及び講演会を開催しました。また、同8月上野の森美術館「第15回泰書展」にて丁家所蔵作品の特別展示を実現しました。2010年、父方の祖父丁仁(号鶴廬)と母方の祖父呉隠(号潜泉)の二人の「号」にある一文字をコラボし、呉氏潜泉印泥三代目継承者李耘萍が調製した「鶴泉印泥」を発案・監修・製造しました。さらに、同5月日本篆刻家協会主催の「日本篆刻展」にて丁鶴廬作品100点あまりを展示しました。
 
 その後、 丁鶴廬の「西泠八家印存稿」の紛失という大きな試練に見舞われ、心身ともにつらい時期を迎えました。しかし、「西泠八家印存稿」の情報と調査を求める嘆願書に4000名もの方からご署名が集まり、内3500名以上が日本の方々でありました。励ましと勇気を頂いたことに心から感謝です。 孤本である「西泠八家印存稿」 は、丁家代々が受け継いだ中国の篆刻と印学のエッセンスを凝縮した貴重な文化財であり、到底諦めきれる物ではありません。約5年間にもわたる裁判の中、価格の判断基準に終始し、歴史的価値や評価を著しく傷つけられましが、その反面、多くの友人の方々から多大なるご支援とご協力を頂きました。この度、裁判に終止符をうつ事となりました。「西泠八家印存稿」の存在がいつどこで再び現れるか分かりませんが、当該所有権は丁家にあることが裁判でも認められました。
 
 昨年9月、中国杭州の浙江美術館にて28年ぶりに「西泠四君子展」が開催され、今年5月には、日本で安藤忠雄さんの設計代表作の一つでも兵庫県立美術館で日中国交正常化45周年の記念イベントの一つとして行われました。
 
 風光明媚な西湖のほとりにある西泠印社は、一族をはじめ、日中間の多くの方々が幾多な戦禍と苦難を乗り越え、守り抜き、そして、「篆刻の聖地」として今日まで発展したものです。恩人、友人の皆様とご一緒にでき、西泠印社副社長兼秘書長の陳振濂先生より、文化の伝承、後継者の育成等の激励のお言葉を頂き、日本篆刻家協会をはじめ各書道篆刻団体のお力と知恵を拝借して、弊研究会も微力ながら、お役に立っていきたいと思います。
 
 日本をベースに会派を超え、研究者や専門家、愛好家を会員に構成し、西泠印社を創設した丁鶴廬をはじめ、先人たちの精神及び篆刻藝術の真髄と魅力を追求、伝承してくことを目指しています。

敬具
 
丁鶴廬研究会
会長 丁如霞
平成28年6月吉日
 
 
高式熊先生による題字
 
 
劉江先生刻「丁鶴廬研究会」
 
 
 
丁仁作品